AIガバナンス協会は2025年11月28日、会員企業や有識者との議論を経て、「AI時代の経営意思決定とガバナンス 〜攻めのAIガバナンス実現のための 戦略レポート ver1.0」を公表しました。日本企業の経営層がAIの不確実性や進化スピードに対応し、ベネフィットとリスクを適切に評価して「攻めのAIガバナンス」を実現するための経営意思決定の基本的な考え方と、その実装に向けた具体的なフレームワークを議論しています。
AIGAでは本レポートを出発点として、経営層や多様なステークホルダーとの議論を重ね、AI時代の経営意思決定の高度化に向けた取組を継続していくことを目指しています。
【レポート】公表したレポートの全体版はこちら
【レポートの概要】
AIの急速な進化は企業経営に大きな変革をもたらし、競争力の源泉としてAI活用が不可欠になりつつあります。一方で、差別・偽情報・セキュリティなどAIに関する多様なリスクも現実化しており、経営層には、こうしたリスクも踏まえたAI活用をめぐる戦略策定、そしてその実行のためのコミットメントが強く求められています。
特に日本では、人口減少をはじめとした社会課題を多く抱える状況にもかかわらず、諸外国と比較して企業における業務でのAI活用が遅れている現状が明らかになっており、社会全体にも巨大な機会損失をもたらしています。この点で、日本における経済成長と社会課題解決の成否は、いまAIをめぐる経営意思決定のあり方を刷新できるかにかかっているといっても過言ではありません。
本レポートはこうした背景を踏まえ、AIをめぐる経営判断を担う経営層を主たる対象として、今後自社において整備すべき意思決定の基本的な考え方と、その実装に向けた具体的ステップの試案を示し、社会的議論の深化を図ることを目的として取りまとめたものです。
検討に当たっては、AI活用の最前線に立つ有識者・経営層、および実際の課題解決を率先して行っている一般社団法人AIガバナンス協会(AIGA)会員企業が知見と実践を持ち寄り、議論を進めてきました。
目次
0 はじめに
1 AIの普及が社会にもたらす変化と経営の役割
1.1 AIが企業価値にもたらす多面的な正のインパクト
1.2 顕在化するAIリスクと対応への社会的要請
2 日本企業におけるAI活用方針の不在とAI活用態様の問題
3 「攻めのAIガバナンス」の必要性と実現のポイント
3.1 AI時代の経営に求められる基本姿勢
3.2 経営意思決定フレームワークの試案
4 AIガバナンスエコシステム形成に向けた課題
【本レポートの策定経緯・メンバー】
本レポートは、以下に掲げる有識者メンバー(2025年10月29日、および11月4日に有識者ヒアリング会合を実施)、会員有志協力メンバーの皆様のご助言のもと、AIGA事務局によって取りまとめられました。その他、AIGA会員全体からのフィードバックを反映しています。本報告書の策定にあたり、ご協力いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
有識者メンバー(五十音順、敬称略)
- 大越いづみ(サイリーグホールディングス株式会社)
- 落合孝文(弁護士)
- 小林裕宜(株式会社Citadel AI)
- 生田目雅史(東京海上ホールディングス株式会社、AIGA代表理事)
- 羽深宏樹(スマートガバナンス株式会社、AIGA代表理事)
- 松倉怜(株式会社AVILEN)
- 水口剛(高崎経済大学)
- 宮下和昌(株式会社経営共創基盤)
会員有志協力メンバー(五十音順、敬称略)
- 大野健太(株式会社Preferred Networks)
- 片山雄太(株式会社Re-grit Partners)
- 後藤出(シティユーワ法律事務所)
- 近藤純也(有限責任あずさ監査法人)
- 大道亮(株式会社野村総合研究所)
- 高木幸一(KDDI株式会社)
- 中久保菜穂(シェルパ・アンド・カンパニー株式会社)
- 橋本哲哉(PwCコンサルティング合同会社)
- 和田真弥(KDDI株式会社)
AIGA事務局
- 事務局員 大野康晴
- 事務局員 宮原瑞穂
- 事務局長 佐久間弘明
