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2025年3月17日(月)、楽天クリムゾンハウス青山にて、「AIGA Meetup #2」を実施しました。AIエージェントや最新の政策動向など、2025年に入ってから注目を集めるテーマをめぐり、2つのセッション及び会員間の交流を行いました。
以下、イベントの様子の一部をお伝えします。
開催概要
主催:一般社団法人AIガバナンス協会(AI Governance Association)
日時: 2025年3月17日(月) 17:30-19:30
会場:楽天クリムゾンハウス青山
対象:AIGA会員
オープニング

登壇者
一般社団法人AIガバナンス協会 生田目雅史代表理事
一般社団法人AIガバナンス協会 佐久間弘明理事
一般社団法人AIガバナンス協会(以下、「AIGA)」の生田目雅史代表理事ならびに佐久間弘明理事からオープニングの挨拶がありました。
生田目理事からのスピーチでは、まずAIGAのこれまでの活動を振り返りました。
直近では、政府における個人情報保護法の見直しに際し、協会として意見を述べる機会をいただき、事務局ヒアリングに出席しました。また、政府のAI制度研究会の中間取りまとめに対しても、幅広い属性の会員の声をもとに意見を提出しています。こうした取り組みを通じて、日本の政策立案過程におけるAIGAのプレゼンスが徐々に確立されてきています。
また、グローバルな視点からAIを取り巻く法規制や動向を吸収・学習しつつ、会員の意見を集約しながら、政策関係者とも連携を深めることで、協会の知見を政策に反映していくことの重要性も強調されました。
生成AIの急速な発展がさまざまな分野に広がる中、健全で適切なAI活用に向けた民間の知見を結集することがますます求められています。AIGAが様々なAIガバナンスをめぐる知見のハブとなり、AIリスクを見極めるための議論を深め、民間事業者にとって有益な場となるために取り組んでいく意気込みが述べられました。
トークセッション①
AIエージェントを良い同僚にするには?

登壇者
株式会社セールスフォース・ジャパン 松尾吏様
楽天グループ株式会社 平手勇宇様
NTTデータグループ株式会社 安部裕之様<モデレーター>
トークセッション①では『AIエージェントを良い同僚にするには?』をテーマに、最新の技術トレンドであるAIエージェントについて、その可能性と、企業のAIガバナンスにもたらす影響について議論をしていただきました。
具体的内容として
①「AIエージェント」と呼ばれる技術の登場がもつ意味とは?どのようなチャンスが開かれているか?
②AIエージェントの活用にはどのようなリスクがあるのか?これまでのAIリスクとの違いは?
③AIエージェントのリスク対策を今後どのように進めていきたいか?AIGAの枠組みで議論すべきことは?
をディスカッショントピックとしてAIの開発・利用・提供それぞれの立場からの見え方やリスクについて活発な議論が行われました。
特にリスク分野についてはAIエージェントを用いることによってエラーが発生した際に大きな影響を与える可能性やAIエージェント同士による競合など、新たなリスクについてご言及いただき、特に活発な議論が行われました。
ディスカッションの最後では、AIGAの今後の取組への期待についても議論されました。AIエージェントも含めたAIリスクへの対応について、AIGAの会員企業の幅広さを活かして積極的にノウハウを蓄積していくことの重要性や、会員企業同士による学び合いの機会を設けることへの期待について議論いただきました。
トークセッション②
SafetyからSecurityへ?AI政策の国際情勢を読み解く

登壇者
AIセーフティ・インスティテュート副所長 平本健二様
大阪大学 社会技術共創研究センター 特任准教授 工藤郁子様
一般社団法人AIガバナンス協会事務局次長 堀田みと<モデレーター>
トークセッション②では、『SafetyからSecurityへ?AI政策の国際情勢を読み解く』をテーマにAIガバナンスをめぐる国際的な主要動向について、AISI・AI制度研究会で政策議論に最先端で携わるゲスト登壇者にお話を伺い、今後日本の政府・企業として取り組むべきAIガバナンス構築の方向性について議論していただきました。
具体的内容として
①各国AI政策のトレンド変化をどう見るか?
②AI Action Summitと国際連携の行方
③激動する国際情勢の中、日本型AIガバナンスをどのように確立するべきか
をディスカッショントピックとして、政策立案に携わる立場から、アメリカやEUをはじめとする各国のAI規制についての見解をご共有いただきました。
トランプ政権におけるAI開発推進、EUのAI法の適用開始、中国での最新モデルの開発動向、国内の新たなAI法案にも触れつつ、AI政策の年始以降の国際動向を概観した議論が行われました。
特に「日本型AIガバナンスをどのように確立するべきか」という論点については、現在審議中のAI法案の内容にも触れつつ、事業者に求められる変革の方向性や、日本の強みを生かしつつ海外とのコラボレーションを進めていくことの重要性について議論いただきました。
クロージングスピーチ

登壇者
一般社団法人AIガバナンス協会 羽深宏樹代表理事
閉会に寄せて、一般社団法人AIガバナンス協会 羽深宏樹理事よりクロージングスピーチが行われました。
はじめに、この春国会にて審議中のAI法案の「民間事業者の責務」の条項について触れられました。まず前提として、AIを利活用する事業者による事業活動の効率化・高度化、新産業の創出に努めることが期待されていることが強調されました。他方で、「責任ある実装をどう行うか」については、事業者の自主性を尊重するという立場も示されているとの整理がありました。
AI法案の内容を踏まえ、最終的には事業者自身がしっかりと考え、頭を使って判断する必要性と、AIGAのような学び合いの場の重要性が改めて確認されました。
また、具体的な解決策がまだ整理されていなくても、「そもそもどのような課題があるのか」という問いを共有すること自体が価値あることだと述べられました。具体的な課題感をAIGAのコミュニティ内でも積極的に共有し、議論し、手を動かして理解と実践を深めていきたいという期待が寄せられました。
実務の現場で直面する問いや悩みにこそ、今後のガバナンスのヒントがあります。AIGAは、今後も、AIをめぐる社会的な期待と責任に応えるAIガバナンスが当たり前のものとして定着した社会の実現を目指し、引き続き民間の知見を結集し、政策への建設的な提言や実装支援を行ってまいります。