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AIGA Meetup #5 開催レポート

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2026年7月21日(火)、KDDI株式会社のオフィスにて、「AIGA Meetup #5」を実施しました。AIエージェントの活用が急速に進む中、AIの高度化がサイバーセキュリティに及ぼす影響や、改正個人情報保護法によって変容するプライバシーガバナンスのあり方など、企業のAIガバナンス実務に直結するテーマを取り上げ、2つのトークセッション及び会員間の交流を行いました。

以下、イベントの様子の一部をお伝えします。

開催概要

主催:一般社団法人AIガバナンス協会(AI Governance Association)
日時: 2026年7月21日(火) 17:00-19:30
会場:KDDI株式会社高輪本社
対象:AIGA会員、関係省庁担当者、メディア

オープニング

登壇者

一般社団法人AIガバナンス協会 事務局次長 森開汰 

冒頭では、一般社団法人AIガバナンス協会(以下、AIGA)の森より、活動報告が行われました。

特に注目すべき成果として、「AIガバナンスナビver2.0」の取り組みが挙げられました。4月から5月末にかけて実施した一斉自己診断には会員企業数(当時)の1/3を超える約60社から回答が集まり、7月末に分析結果が共有されています。どの項目においても過去の一斉自己診断から点数が伸長しており、会員企業のガバナンス成熟度が着実に向上していることがうかがえます。

あわせて、直近の活動として以下のような直近の取組が紹介されました。

最後に、11月16日(月)午後に開催予定の年次総会・シンポジウムの日程が案内されています。会員数の拡大とともに、協会の活動領域も着実に広がっています。

トークセッション①
AI×セキュリティの現在地点:AIの高度化はリスクをどう変えるか

写真キャプション:佐久間 弘明・崎村 夏彦様・平田 泰一様(左から)

登壇者

シスコシステムズ合同会社 Foundation AI Regional Lead, Japan & Asia-Pacific 平田 泰一 様
OpenID Foundation 理事長 崎村 夏彦 様
一般社団法人AIガバナンス協会 業務執行理事 佐久間 弘明<モデレーター>

トークセッション①では、AIの高度化がサイバーセキュリティに与える影響について議論が行われました。モデレーターを務めた佐久間理事からは、AIの進化がセキュリティにもたらす影響について、攻撃者がAIを活用することによる攻撃能力の増大と、逆にセキュリティ保護にAIを活用することによる防御力の強化(AI for Security)、そしてAI自体が攻撃の対象になることへの対応の必要性(Security for AI)といった多様な側面があることが指摘されました。

前半では、直近大きな話題となった高度なAIモデルのサイバー攻撃能力について議論されました。崎村氏からは、政府等の管理が及ばないモデルの登場を見据え、独自仕様のプロトコルではなく形式検証を伴う標準技術に基づくセキュリティ基盤を整備する重要性が語られました。あわせて、攻撃コストの低下によって、これまで攻撃対象になりにくかった中小企業が今後標的になりやすくなるとの懸念も示されています。

平田氏からは、シスコシステムズ合同会社がAnthropic社の先端モデル早期検証プログラムProject Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)に初期参加企業として参画した経験が紹介されました。高度なAIモデルの活用の影響として、開発サイクルが大きく加速したことがあげられました。一方で、こうした先端モデルの活用には相応のコストがかかることから、活用できる企業とそうでない企業の間に格差が生じる可能性についても言及がありました。

また後半では、「AIエージェントの普及とアイデンティティ管理」というテーマについて議論されました。崎村氏からは、AIエージェントが職員的な存在として業務に組み込まれていく中で、エージェント単位でのアカウント分離や監査証跡の確保、権限管理のスケーラビリティが大きな課題になるとの指摘がなされました。エージェントが自律的にサブエージェントを生成していく状況を踏まえ、最終的な責任の所在を追跡できる仕組みの必要性についても議論が行われました。

平田氏からは、AIモデル単体へのガードレール設計という2023〜2024年頃の議論から、セキュリティの論点が「サプライチェーンリスク」そのものへと移行しているという認識が示されています。その背景としては、MCPやスキル連携を通じてAI同士がつながる現在、単体のAIモデルだけでなくシステムとしてのセキュリティを考えることが不可欠になっている点が挙げられます。

ディスカッションの最後では、AIガバナンス担当者とサイバーセキュリティ担当者の間の縦割りを解消し、双方が「自分ごと」として組織横断的に取り組む必要性についても議論され、明日から実践すべき具体的な行動への示唆とともにセッションは締めくくられました。

トークセッション②
プライバシーガバナンスの新潮流:個人情報保護法改正により変容する企業の取組とは

写真キャプション:大野 康晴・山崎 晃弘様・日置 巴美様・宇根 駿人様(左から)

登壇者

株式会社Acompany 弁護士 宇根 駿人様
長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士 日置 巴美様
KDDI株式会社 経営戦略本部 Data&AIセンター ガバナンスグループ グループリーダー 山崎 晃弘様
一般社団法人AIガバナンス協会 事務局 大野 康晴<モデレーター>

トークセッション②では、改正個人情報保護法によって新設される「統計特例」を中心とした議論が行われました。本会議での法案可決を受け、統計情報等の作成のみに利用することを条件に、本人同意なく個人データの第三者提供や要配慮個人情報の取得を可能にする制度の詳細と、それに伴う企業のガバナンス変容がテーマとなりました。

前半では、「統計特例とは何か」というテーマで、日置氏より制度の枠組みが整理されました。従来は個人情報の取得・提供・目的外利用のいずれの場面でも本人同意が原則とされてきましたが、権利利益を侵害する恐れが少ない統計情報等の作成に限っては、リスクベースの考え方に基づき同意を不要とする選択肢が新たに設けられることが説明されています。あわせて、具体的な対象範囲や公表事項については、今後個人情報保護委員会の規則やガイドライン等で定められる予定であることも確認されました。

続いて、宇根氏からは秘密計算をはじめとするPETs(プライバシー強化技術)の役割について説明がありました。PETsはプライバシーを保護する技術の総称であり、計算処理過程を暗号化・秘匿化する秘密計算など複数の種類があるという整理が示されています。PETsはデータの統計化やプライバシー保護に対する万能の解決策ではなく、技術の特性を正しく理解した上で使いどころを見極めることが重要であると、具体的な事例を交えて語られました。

また後半は、「事業者間のデータ流通とガバナンスのあり方」というテーマに議論が移りました。山崎氏からは、統計特例の活用が自社完結ではなく複数事業者にまたがる取り組みになる点を踏まえ、データを起点としたポリシーベースのガバナンス構築が重要になるとの見解が示されました。特に、法律上の要件を満たすだけでなく、消費者に対してAI活用の目的やメリットを分かりやすく説明し、信頼を得ていく取り組みの必要性について、活発な議論が行われました。

ディスカッションの最後では、複数の事業者間でデータを集約・統合する際の法的要件の整理、要配慮個人情報の取り扱いに関する実務上の課題についても議論されました。日置氏からは、委託先選定に準じた確認プロセスの必要性とともに、AIGAをはじめとする業界団体がベストプラクティスの共有を通じて実務の標準化を後押しすることへの期待が語られ、セッションは締めくくられました。

ネットワーキング・閉会

2つのトークセッションの終了後には、ネットワーキングセッションが催されました。登壇者・参加者合わせて100名近くが交流を深め、AIGA Meetup #5は盛況のうちに閉会しました。